番外編:妻の本音を聞いてみた
第1部が一区切りついたところで、今回は少し趣向を変えます。ここまで一緒に走ってきた妻に、本音を聞いてみることにしました。以下、妻の言葉です。
長野に新築で家を建てることになったとき、正直かなりウキウキしていました。今の建売住宅で「ここがこうだったらな」と思っていたことを全て解消して、家事がラクな家に住めるチャンスだと思ったからです。自然素材の家にも、ずっと憧れがありました。
そんな中、義父から「地元の懇意にしている工務店で建ててほしい」という要望が入りました。夫と2人では別の工務店を考えていましたが、色々な業者を家に入れたくないという義父の気持ちも分かるので、まあいいかと納得しました。全館空調が魅力的で、間取りの自由度もありそうだったのも大きいです。
顔合わせでは、先方が参考プランまで用意してくれていて、驚きました。この段階で夫はすでにAIと壁打ちしながら要求仕様書を作り込んでいて、それを提出したのです。正直「そこまでやる?」と思っていたのですが、次に出てきたプランが、もう住めそうなレベルに仕上がっていて、これは業者さんとの認識のズレをなくすために必要なものだったのかもしれない、と思い直しました。
ところが参考見積もりを聞いて大幅な予算オーバーにびっくり。坪数を減らせないかお願いしつつ、夫は自分でも間取りを書き始めてました。深夜に「どう?」と見せてくる夫と、早く寝たい私。ある晩つい「やりすぎじゃない?」と言ってしまい、しばらく気まずい空気が流れました。
ハウスメーカーを固定してしまったことで、色々なモデルルームを見て回れないのは、ちょっと残念でした。昔からモデルルーム巡りが大好きだったのです。ただ、値引き交渉のために相見積もりが必要だと義父から話があり、いくつかピックアップして見に行けることになりました。この時はまだ、紹介制度なんて仕組みがあることも知らず、前々から気になっていたアイ工務店と、後輩に勧められた一条工務店を選びました。
最初に行ったのは一条工務店です。一条ルールなるものが存在し、自由度が少ないと聞いていたので、うちの要望する間取りは難しいだろうなと、正直半信半疑でした。それなのに夫が要求仕様書を出すと言い出したときは、びっくりしました。タブレットを借りて色々な情報を調べていたのも夫です。この時点では、私の中で一条への期待はまだそこまで高くありませんでした。
テクノロジーセンターという施設の案内を受けたのですが、実際に行ってみたら、まる1日かけての見学ですっかり性能のファンになってました。床暖房も良かったし、換気システムで空気がきれいになる仕組みも気に入りました。外壁の見た目も好みだったし、キッチンも希望の色味があり、洗面台の収納も充実していて、痒いところに手が届く感じが高ポイントでした。建材を自由に選べないぶん、逆に選択に迷わなくて済むという発見もありました。自然素材の壁紙を使うには契約後でないと可否が分からないという難点はありましたが、それを差し引いても、私は一条工務店推しになっていました。
一方のアイ工務店は、展示場の遊び心のある間取りに子どもたちが大はしゃぎ。私自身もスキップフロアに憧れがあったので、非常にワクワクしました。こちらは担当が長野の方になるとのことで帰省のタイミングで、展示場に飛び込みで訪れることにしました。数日後には義実家まで担当の方が来てくださり、夫と義父の印象がかなり良かったこともあって、義父から「アイ工務店で建ててもいいよ」という一言が出ました。
まさかの展開に驚きつつも、ここから一条工務店とアイ工務店の本気の比較が始まります。性能を取るか、間取りを取るか。甲乙つけがたくて、私は全く選べませんでした。アイ工務店からは、スキップフロアなしのプランと、スキップフロアありのプランの両方をもらいました。個人的には、スキップフロアなしなら一条工務店の方がいいと思っていて、夫も私の気持ちを汲んでくれて、契約1週間前までは一条工務店と契約するつもりでいました。
ところが、アイ工務店では通常は担当の営業さんだけがプランを書くところを、このときは特別にプランナー部門なるところに依頼してくれて、二つのプランが見事に融合した、スキップフロア付きの新プランを出してきてくれました。この間取りがとても素敵で、また決心が揺らぐのでした。最後はそのプランと営業さんが値引きを頑張ってくれたこともあり、アイ工務店に決めることになりました。
振り返ると、甲乙つけがたかったのも当然だと思います。それぞれに、ちゃんと選ばれる理由がありました。
私が必死に考えている時に「やりすぎでは?」と言われたのは正直カチンと来ましたが、必要なものだったのかもしれないと少しでも伝わっていたのなら報われました。これだからRFP回答しない人は・・・と恒例の小競り合いに発展する夫婦なのでした。
第1部「ヌシ、コンペをひらく」は、これでひと区切り。次回からは第2部「ヌシ、家づくりの要件定義する」に入ります。