ステークホルダーと要求仕様書を握る
RFP(要求仕様書)というのは、私の仕事(システム開発)でよく使う言葉です。大事なのは、「どうやって作るか」ではなく「何がしたいか」を書くということ。作り方を考えるのはプロの仕事だからです。
家づくりも同じだと思いました。私は家のことなんて右も左も分かりません。でも、「こんな暮らしがしたい」なら、自分の言葉で書けます。餅は餅屋で、家づくりのことは分からなくても、「これがしたい!」だけは書き出せる。そう腹をくくりました。
まず、この家づくりに関係する人たちを洗い出しました。妻、子ども3人、そして実家の敷地を整理してもらう両親。それぞれに、暮らしの中で困っていることや、こうしたいという希望を聞いていきます。
途中、父からLINEがありました。
「庭のゴルフネット、冬は使えないんだよな。新しい家に室内のゴルフシミュレーターを置けないか?」
RFPに「ゴルフシミュレーター設置を想定した多目的ホール」という一文が加わった瞬間です。私はお人好しである。自覚はある。
作り方は、また生成AIに聞きました。「要求仕様書の目次と、書くべき内容を調べてください」。出てきた目次に、自分の要望、妻の要望、両親の要望、子どもの要望をどんどん入力していきます。分からないことはその都度生成AIに聞けば教えてくれる。もちろん資料をきれいにまとめるのも生成AIにお任せです。
全員の声を集めてRFPとしてまとめるまで、かかった時間は1ヶ月で十数時間ほど。通勤時間など隙間時間での作業でしたが、まずは30点でいい。完璧な提案はプロが作ってくれると信じます。
🤖 本日のプロンプト
通勤時間にスマホで打っていた実際のプロンプトがこちらです。整った文章ではなく、箇条書きのままAIに投げていました。
家族構成と前提
- 私と妻に子供3人(長女、次女、長男)の5人暮らし
- 母屋の隣にある古家を壊して新築
両親からの希望
- 付き合いのある工務店で建てて欲しい
- 車庫は残して欲しい
- 母屋からアクセスできる納屋が欲しい
家族の希望
- ビルトインガレージが欲しい
- 子供達が遊べる多目的ホールが欲しい
- テレワーク用の書斎が欲しい
- 家事ラク動線を重視(キッチン⇔パントリー⇔ランドリー⇔ファミクロ)
- LDKに妻のワークスペースが欲しい(個室までは不要だが、緩く仕切りたい)
- ビルトインガレージの上をオープンバルコニーにしてはどうか
- 夫婦の寝室が2つと子供部屋が3つ欲しい
- 共有の喫茶/スタディスペースが欲しい
きれいな文章にする必要はありません。箇条書きの生メモでも、AIは十分に整理してくれます。
AIの回答(要約)
いただいた要望を、出所ごとに整理しました。
- 両親からの要望(建築会社の指定、既存車庫の維持、納屋の新設)は、 既存の生活動線を尊重する「制約条件」として扱うのが良さそうです。
- ご家族の要望のうち、家事動線・ワークスペース・個室構成は、 間取りの根幹に関わる「優先度の高い希望」として位置づけられます。
- オープンバルコニーやビルトインガレージは、構造や予算との 兼ね合いが出やすい項目なので、建築会社との相談時に 優先順位を伝えておくと良いでしょう。
次に、これらの要望に優先度(絶対に叶えたい/できれば叶えたい)を 付けていきましょう。まずは一番譲れない項目から教えてください。
このやり取りを何度か繰り返しながら、少しずつRFPの形が整っていきました。
出来上がったRFP(抜粋)
1. プロジェクト概要
- メインテーマ:家族それぞれの居場所を確保しつつ、家事負担を減らす住まい
2. 敷地・外部制約
- 隣接する母屋(両親の住まい)とのアクセス動線に配慮すること
- 既存の車庫は解体せず、そのまま活用すること
- 母屋側から出し入れできる納屋を新設すること
3. フロア別の要件
- 1階:ビルトインガレージ、来客・趣味にも使える多目的ホール、 テレワーク用の独立した書斎、納屋
- 2階:家族が集まるLDK、緩やかに仕切った妻のワークスペース、 「キッチン⇔パントリー⇔ランドリー⇔ファミリークローゼット」で 完結する家事動線、ガレージ上部を活用したオープンバルコニー
- 3階:夫婦の主寝室×2、子ども部屋×3、家族共有の喫茶/スタディスペース
4. 性能・設備への要望
- 冬の寒さ・夏の暑さを問わない、快適な温熱環境
- できる限り自然素材を採用すること
- テレワークに耐えうる、安定したネットワーク環境
5. スケジュール
- 竣工目標:2027年秋
- 入居目標:2028年春
雑多なメモが、こうして建築会社に見せられる一枚の要望書になりました。これでようやく、スタートラインです。
このRFPのテキストを基に、生成AIを使った間取り図やパースの作成も試みました。結論から言うと、そこには限界があったのですが……その足跡はまた次回。